2024.2.2
TOHOシネマズ 日比谷他
ロードショー
イントロダクション
2021年初頭、アメリカの金融マーケットが激震する前代未聞の大事件が発生した。ネット掲示板に集った小口の個人投資家たちが、時代遅れで倒産間近と囁かれていたゲームストップ社(実店舗によるゲームソフトの小売り企業)の株をこぞって買いまくり、同社を空売りしていたヘッジファンドに大損害を与えたのだ。アメリカ各地に点在する無力な一般市民がSNSを通じて団結し、強欲なウォール街の大富豪にギャフンと言わせたこの反乱劇は、全米を揺るがす社会現象となり、日本でも大きな反響を呼んだ。
『ソーシャル・ネットワーク』(2010)の原作者でもあるベン・メズリックのノンフィクションに基づく本作の背景は、新型コロナのパンデミックによって社会全体が疲弊し、誰もが孤独と将来への不安に苛まれていた2020年~2021年。ネット掲示板の動画配信でゲームストップ社の価値を真摯に訴え続けた主人公キースと、彼の主張に共感して夢を追い求めた人々のジェットコースターな人間模様が、破格のサプライズとユーモア満載で繰り広げられていく。ウォール街のエリートと庶民の途方もない経済格差、投資環境が激変したSNS時代のマネーをめぐる狂騒など、まさしく世界の“今”をパワフルに射抜いた実録エンターテインメントが完成した。
ストーリー
コロナ禍まっただ中の2020年。米マサチューセッツ州の平凡な会社員キース・ギル(ポール・ダノ)は、全財産の5万ドルをゲームストップ株につぎ込んでいた。アメリカ各地の実店舗でゲームソフトを販売するゲームストップ社は業績が低迷し、倒産間近のボロ株と見なされていたが、キースは赤いハチマキを巻き、ネコのTシャツ姿の“ローリング・キティ”という別名義で動画を配信し、この株が著しく過小評価されているとネット掲示板の住民に訴える。すると、キースの主張に共感した大勢の個人投資家がゲームストップ株を買い始め、2021年初頭に株価はまさかの大暴騰。同社を空売りしてひと儲けをもくろんでいた金融業界の大富豪たちは巨額の損失を被った。やがてSNSに集った無力な一般市民が、この世の富を独占するウォール街のエリートに反旗を翻したこのニュースは、連日メディアをにぎわせ、全米を揺るがす社会現象に発展。しかし一躍、時の人になったキースの行く手には、想像を絶する事態が待ち受けていた……!
キャスト
“ローリング・キティ”こと
キース・ギル
ケビン・ギル
スティーヴ・コーエン
ジェニー
ケン・グリフィン
マルコス
ブラッド・テネフ
キャロライン・ギル
ケイブ・プロトキン
“ローリング・キティ”こと
キース・ギル
Paul Dano
1984年6月19日生まれ、アメリカ・ニューヨーク出身。17歳の時に『L.I.E(原題)』(01)で映画デビュー、インディペンデント・スピリット賞最優秀デビュー演技賞を受賞。『リトル・ミス・サンシャイン』(06)で注目を浴び、2007年、アカデミー賞作品賞にノミネートされた『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』で、英国アカデミー賞助演男優賞にノミネート。『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』(15)ではゴッサム・インディペンデント映画賞の最優秀男優賞を受賞した。その他、『プリズナーズ』(13)、アカデミー賞作品賞に輝いた『それでも夜は明ける』(13)、『グランドフィナーレ』(15)、『スイス・アーミーマン』(16)、『THE BATMANザ・バットマン』(22)、『フェイブルマンズ』(23)などに出演している。また、『ルビー・スパークス』(12)では主演・製作を務め、出演・脚本のゾーイ・サガンとはプライベートでもパートナーとして、2018年に第一子が誕生。自身初の監督作品『ワイルドライフ』(19)でも共同脚本を務めた。
ケビン・ギル
Pete Davidson
1993年11月16日生まれ、アメリカ・ニューヨーク出身。人気コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ(SNL)」のキャストとして人気を集め、多くのテレビ番組や映画などに出演。主な作品は、『セットアップ:ウソつきは恋のはじまり』(18)、『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』(21)、『恋人を取り戻すには』(22)、『ミートキュート~最高の日を何度でも~』(22)、『マーダーヴィル サンタを殺したのは誰だ?』(22)、『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(23)、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』(23/声の出演)など。
スティーヴ・コーエン
Vincent D'Onofrio
1959年6月30日生まれ、アメリカ・ニューヨーク出身。1987年にスタンリー・キューブリック監督『フルメタル・ジャケット』に出演し、一躍注目を集める。その後は『JFK』(91)、『ザ・プレイヤー』(92)、『エド・ウッド』(94)、『メン・イン・ブラック』(97)、『ザ・セル』(00)などで個性的な役柄を演じ、また、人気テレビシリーズ「LAW&ORDER:クリミナル・インテント」にも出演。実力派俳優として数多くの作品に出演している。近年の主な作品は、『ジュラシック・ワールド』(15)、『マグニフィセント・セブン』(17)、『デス・ウィッシュ』(18)、『スリー・ジャスティス 孤高のアウトロー』(20/監督・原案・出演)、『消えない罪』(21)、『タミー・フェイの瞳』(22)など。
ジェニー
America Ferrera
1984年4月18日生まれ、アメリカ・ロサンゼルス出身。8歳から地元の劇団に参加し、テレビや映画に出演する。2006年、大ヒットドラマシリーズ「アグリー・ベティ」の主役に抜擢、大ブレイクを果たす。この作品でゴールデングローブ賞、エミー賞の主演女優賞を受賞し、演技でも高く評価された。また大学時代から交際していたライアン・ピアーズ・ウィリアムズと結婚し、二児の母。主な出演作は、『旅するジーンズと16歳の夏』(05)、『旅するジーンズと19歳の旅立ち』(08)、『ティンカーベル』(08/声の出演)、『ヒックとドラゴン』(10/声の出演)、『エンド・オブ・ウォッチ』(13)、『ヒックとドラゴン聖地への冒険』(19/声の出演)、『バービー』(23)など。
ケン・グリフィン
Nick Offerman
1970年6月26日生まれ、アメリカ・イリノイ州出身。大学卒業後、地元劇団に所属し、俳優として活動を始める。1997年『インディアナポリスの夏/青春の傷跡』で映画デビューを果たす。また『ER緊急救命室』や『ザ・ホワイトハウス』、『24-TWENTY FOUR-』など人気テレビドラマに多数出演。その他の主な作品は、『LEGO(R)ムービー』(14/声の出演)、『Dearダニー 君へのうた』(15)、『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(17)、『LEGO(R)ムービー2』(19/声の出演)、『ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた』(19/製作総指揮・出演)、『ルーシー・イン・ザ・スカイ』(19)、『キャンディ・ケイン・レーン』(23/Amazon Prime Video)、『SING/シング: ネクストステージ』(22/声の出演)など。
マルコス
Anthony Ramos
1991年11月1日生まれ、アメリカ・ニューヨーク州ブルックリン出身。アメリカン・ミュージカル&ドラマティック・アカデミーで学ぶ。卒業後は舞台で活躍。2014年ミュージカル作品「ハミルトン」のオーディションに合格、主人公の息子役を演じた。2016年『ホワイト・ガール』で映画デビューを果たすと、『アリー/スター誕生』(18)では主人公の友人ラモン役に抜擢される。主な出演作は『トロールズ ミュージック★パワー』(20/声の出演)、『ファイナル・プラン』(21)、『イン・ザ・ハイツ』(21)、『バッド・ガイズ』(22)、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』(23)など。
ブラッド・テネフ
Sebastian Stan
1982年8月13日生まれ、ルーマニア出身。12歳からアメリカに在住、2002年にアメリカ合衆国に帰化している。ロバート・ダウニーJrやナタリー・ポートマンら多数の実力派俳優を輩出した「ステージドア・マナー・サマーキャンプ」への参加により、本格的に俳優を志す。2003年にNBCの法廷ドラマ「ロー&オーダー」で俳優デビューを果たし、大ヒットドラマ「ゴシップガール」(07~11)に出演。一躍注目の的となり、『レイチェルの結婚』(08)、『ブラック・スワン』(10)、『オデッセイ』(16)『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(18)、『ストレイ・ドッグ』(20)、『悪魔はいつもそこに』(20/NETFLIX)、『355』(22)、『フレッシュ』(22/Diseny+)、『Sharper騙す人』(23/Apple TV+)等に出演した。2011年にマーベル・スタジオ作品『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』でウィンター・ソルジャー/バッキー・バーンズ役に抜擢。以降、『アベンジャーズ』シリーズ7本に出演、ディズニープラスで配信された『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(21)でもバッキー役を再演した。
キャロライン・ギル
Shailene Woodley
1991年11月15日生まれ、アメリカ・カリフォルニア州出身。5歳からCMモデルをはじめ、99年のテレビ映画『Replacing Dad』(原題・日本未公開)でデビュー後、テレビシリーズや映画で活躍。アカデミー賞候補となった『ファミリー・ツリー』(11)でジョージ・クルーニーの娘役を演じ、一躍脚光を浴びる。この映画での演技で、インディペンデント・スピリット賞の助演女優賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞の助演女優賞を受賞し、ゴールデングローブ賞と放送映画批評家協会賞にノミネートも果たした。その後、『ダイバージェント』(14)、『ダイバージェント2』(15)、『ダイバージェントFINAL』(16/ニール・バーガー監督)で勝気な主人公トリスを演じる。その他の主な作品は、『きっと、星のせいじゃない。』(14)、『スノーデン』(17)、『アドリフト 41日間の漂流』(20)、『モーリタニアン黒塗りの記録』(21)など。
ケイブ・プロトキン
Seth Rogen
1982年4月15日生まれ、カナダ・バンクーバー出身。13歳でスタンダップコメディアンとしてデビュー。2001年『ドニー・ダーゴ』で映画初出演。『40歳の童貞男』(05)で注目を集め、『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』(07)、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(07/製作総指揮・脚本)とヒット作に立て続けに出演、人気コメディアンとなる。2013年『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』はエヴァン・ゴールドバーグと共同監督を務め監督デビューとなった。近年の主な作品は、『スティーブ・ジョブズ』(16)、『ナイト・ビフォア 俺たちのメリーハングオーバー』(16)、『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』(20)、『フェイブルマンズ』(23)、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(23/声の出演)、『ニュータント・タートルズ ミュータント・パニック』(23/製作・原案・脚本・声の出演)など。
監督
Craig Gillespie
この題材について確実に言えること。それは、もし私が当時24歳の息子と一緒に暮らしていなかったら、私のレーダーに引っかかっていなかったということです。
ゲームストップ騒動は、単なる株取引の話ではありません。当時は、この国における新型コロナ、孤立感、社会不安が深刻な問題になっていました。そこに現れたのが “ローリング・キティ”です。
息子は早い段階でゲームストップ株へ投資していたので、私は息子を通して、ゲームストップの物語のスリルや興奮、フラストレーションや恐怖を味わえました。そのおかげで、作品を監督する際にはいつも出発点としている、感情のレベル、人間的なレベルでこの作品に取り組むことができました。
一人の平凡な男=“ローリング・キティ”の声を届けながら、観客を反体制的で大胆な体験に連れ出すこの作品が、ささやかながらもこの国の貧富の差に光を当て、現行体制を変えなければいけない、という議論を継続させる一助になることを願っています。
クレイグ・ギレスピー
監督
Craig Gillespie
1967年9月1日生まれ、オーストラリア・シドニー出身。19歳の時にニューヨークに渡り、グラフィックデザインや広告、イラストなどを美術学校で学ぶ。その後、CM監督として活躍し、数々の賞を受賞。2007年『Mr.ウッドコック‐史上最悪の体育教師‐』で監督デビュー。ライアン・ゴズリング主演の『ラースと、その彼女』(08)が高い評価を受ける。1990年代のフィギュアスケート界を揺るがしたトーニャ・ハーディングの事件を描いた『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(18)では、多くの映画賞で話題を集め、アカデミー賞では主演女優賞、編集賞など3部門ノミネート、アリソン・ジャネイが助演女優賞を受賞した。続いて、ディズニーアニメ「101匹わんちゃん」の悪女クルエラ誕生をエマ・ストーン主演で実写映画化した『クルエラ』(21)でも多数の映画賞を受賞した。その他の作品に、『フライトナイト 恐怖の夜』(12)、『ミリオンダラー・アーム』(14)、『ザ・ブリザード』(16)など。
KEY
WORDS
用語解説
株価の下落局面で利益を得ようとする投資手法。下がると見込んだ企業の株を、信用取引などを利用して“借りて売る”ことを指す。実際に下落した時点で買い戻すとその差額が利益になるが、逆に株価が上がると損失を被る。
株式市場で株価が急騰する現象の一例。マーケット参加者が大量にショート(空売り)されている株に買いを仕掛けて株価が上がると、空売り勢は損失を抑えるために買い戻しを迫られ、株価上昇に拍車がかかる。日本語では“踏み上げ”と呼ばれる。
一般向けの公募投資信託とは異なり、ごく限られた富裕層や機関投資家を対象とした私募形式の投信。さまざまな投資手法を駆使し、絶対リターン追求の運用を行う。
SNSなどで話題になった“はやり株”のこと。ごく短期間のうちに株価が数十倍になることもあるが、下落時のスピードも凄まじい。ゲームストップ株はその代表例で、同時期には映画館チェーン運営会社のAMCエンターテインメントもミーム化した。
ゲームストップ株騒動の発火点になった掲示板型ウェブサイト、レディット内のフォーラム。株式市場に関心を持つ人々がさまざまな意見を交わす一方、巨大掲示板につきものの粗野で攻撃的な内容なども見受けられる。
監督:クレイグ・ギレスピー
『クルエラ』『アイ,トーニャ史上最大のスキャンダル』
脚本:ローレン・シューカー・ブラム&レベッカ・アンジェロ 原作:ベン・メズリック
2023|アメリカ|英語|105分|カラー|5.1ch|ドルビーデジタル|スコープ|
原題:DUMB
MONEY|字幕翻訳:橋本裕充
© 2023, BBP Antisocial, LLC. All rights reserved. 提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ
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